SOMPO美術館「モーリス・ユトリロ展」でフランスの風景画とゴッホのひまわりを堪能する

先日の「ゴッホ展家族がつないだ画家の夢」を観た後、どうしてもゴッホのひまわりが見たくなり、新宿のSOMPO美術館に足を運びました。

ゴッホのひまわりと、そこで開催されていた「モーリス・ユトリロ展」も観ることができました。

ユトリロのパリやモンマルトルの街中や郊外を描いた大量の風景画をじっくり堪能してきました。

とにかく死ぬまでに綺麗なものをたくさん観たい、という欲張りな私は、美術館が大好き。アートの勉強をしたことはなく、威張って語るものなど何もありませんが、そんな私が正直に感じたことを綴っています。ごく一般人の感想という視点で、読んでいただけると幸いです。

 

概要

モーリス・ユトリロ展

2025年9月20日(土)ー12月14日(日)

  10:00〜18:00(金曜日20:00まで) 月曜休館

SOMPO美術館  東京都新宿区西新宿1−26−1 

料金 一般1,800円  25歳以下 1,200円  高校生以下 無料

主催 SOMPO美術館、朝日新聞社、テレビ朝日

特別協賛 SOMPOホールディングス

特別協力 損保ジャパン

協力 日本航空

見どころ

生い立ち

モーリス・ユトリロ(1883−1955)

画家シュザンヌ・ヴァラドンの私生児として生まれた。ヴァラドンは、画家やモデルをしながら、18歳でユトリロを出産。シングルマザーで、ユトリロを自分の母親に預け働いた。酒飲みの母親は、てんかん持ちで精神薄弱と診断されたユトリロにお酒を飲ませたため、ユトリロもアルコール依存症になってしまう。治療のため、精神病院への入退院を繰り返す中、治療のために勧められた絵画で才能を発揮していった。

natsu
natsu

幼少期からのアルコール依存・・・

chibi
chibi

複雑な家庭環境で育ったんだね

ユトリロが母親に宛てた手紙が展示されていました。愛情に溢れた文面で、母親を大切に思っていることが感じられるものでした。複雑な家庭環境だったとしても、母親の存在と影響は大きかったのだろうと思います。

20世紀初頭のフランスの街並み

モンマニー時代

モンマルトルで絵を描き始め、シスレーなど印象派の影響を受けつつ描いた頃の作品が紹介されています。色味が重めで、どことなく寂しく静寂を感じるような作品が多い印象です。

白の時代

1909年頃から描いた白を基調とした絵画。白色のニュアンスを出すため、通常の絵の具に、石膏や鳥のフンや砂などを混ぜ、画面にざらつきと重量感を加えたとのこと。確かに、白い漆喰の壁の色や表情などにリアリティがあります。白なのに、温かみがあるような。じっといつまでも観てしまいます。

この頃の作品が、ユトリロの絶頂期として高く評価されているそう。評価が高まり、人気が出て絵が売れたんですね。それでも、入院したり、母親の離婚や転居など色々あったようですが。

なんでもない街並みの風景画ばかりですが、ちょっと歪んだような線が逆に惹きつけられるような、不思議な魅力を感じます。奥に続いていく道の先に引き込まれていくよう。色合いも素敵です。

色彩の時代

写真や絵葉書を参考にしながら、彩度の高い鮮やかで強い色味を使った作品が多くなります。

画家として成功していても、私生活では入院したり警察に逮捕されたりと、色々あったようですが。

作品からは、そういう荒んだ雰囲気は全く感じられません。

白の時代のものが人気だそうですが、私はこの時代の作品も、とてもいいと思います。

ちょっと明るい、楽しい雰囲気が加わったような。人物が多く登場するようになり、女性のぷっくり膨らんだお尻が可愛い。当時のフランスの街並みが美しいです。

繰り返し描く

驚いたのは、同じモチーフを何度も繰り返し描いていること。展覧会に行くと、よくあることですが。

例えば、画像はありませんが、「ラパン・アジル」という建物を描いた作品は、幾つもありました。執拗に、同じ構図で、同じ建物の風景画を描いていたようです。飽きないのかな、と思ってしまいますが。作品ごとに違う何かを求めるのか、繰り返し描くことで見つかる何かがあるのでしょうか。

ゴッホのひまわり

ユトリロの展示が終わり、フロアの最後のコーナーでおもむろに「ひまわり」が現れます。

バブルの頃に、当時の安田海上火災保険が58億円で購入した収蔵品。

すごい、よく頑張った!これを見せてくれてありがとう!

このベタ塗り、たまりませんね。椅子に座り、じっくり堪能させていただきました。

おまけ

展示室を移動する際、階段で見つけた案内。ユトリロが描いた人物画が添えられて、小さいものですが、こういうの好きです。

グッズ

写真を撮り忘れましたが、絵葉書・クリアファイル・トートバック・ポーチなどがありました。

割とシンプルな感じだったかな。今回は、購入なしです。

おわりに

日常のフランスの風景を描いたモーリス・ユトリロの初期から晩年までの作品が、たくさん観られます。かなりボリューム満点で、見応えあります。

波瀾万丈な生活を送りながらも、なんだかんだ長生きして作品を多数残したユトリロ、ちょっと好きになりました。心に残る展示でした。

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